A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 2
CHAPTER.3
成功事例は参考にならない
― 講義で「成功事例は参考にならない」というお話をなさいましたが、これはどういうことですか?
相馬:僕らはいろんな才能と出会って、いろんな音楽を広めようとしています。出会う人たちは、性格も人間性も、育ってきた今迄の環境や自我の強さも違います。それなのに、彼らにこれまでの成功事例をあてはめて、それが通用すると思ったら大間違いです。
同じ方程式で、例えばこういうラブソングを創らせて、こういうテレビ番組に出して、コンサートをしてと、過去にそういうセットアップでブレイクしたとしても、時代は常に動いているし、お客さんの欲求も違います。別の人を同じ方法に当てはめても、その才能に見合っているかを考えると、成功事例はあくまで過去の産物でしかないわけです。
― 例えばですが、アイドルグループではパターン化しているケースもありませんか。
相馬:若い子たちを育てていくという、システムとして素晴らしいものができていると思います。語弊があるかもしれませんが、ファクトリー制度というか、育成システムというか。これらは振り付け師、作詞家、コンポーザー、ヘアメイクといったチームで、次々にアーティストを生み出していくものです。下から育てていく上では成功だと思います。 それに対して僕らは、初めて出会う人と向かい合い、ゼロからスタートをするアーティスト・マネジメントが好きなんです。
― 相馬さんは、アミューズとA-Sketchで、様々なジャンルのアーティストを担当されていますね。
相馬:過去に担当したアーティストが幅広い年代の支持を受けていたり、A-Sketch所属のアーティストも力をつけているからといって、僕らが担当したから絶対売れるという事はありえませんよ。ゼロから考えないと。他のアーティストで取った方法や方程式を当てはめるには無理があります。時代も変わり、アーティスト其々の個性も違います。同じやり方を取るのは無理ですから、過去に成功した事をずっと引っ張るのはダメですね。
― だからこそ、さっきおっしゃった好奇心が重要なのですね。今日はありがとうございました。
(次回は怒髪天のボーカル、増子直純さんです。)
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