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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 3

野村達矢さん
Interviewee

REC.006 野村達矢さん

ヒップランドミュージックコーポレーション常務取締役執行役員 兼 制作本部本部長、ロングフェロー代表取締役、一般社団法人日本音楽制作者連盟理事。

プロフィールの詳細


CHAPTER.1
観客のスイッチが入った瞬間を見逃さない

― 今日の講義では、事前に学生に対して「1年間でライブへ行く回数」などのアンケートを行ない、その集計結果をもとにお話をされました。まずは、その結果を抜粋します。

この1年間にどれくらいライブ(コンサート、イベント、フェス)などへ行きましたか?

10回以上 5~9回 1~4回 0回
9.1 9.1 36.2 45.6

今、自分で所有しているCDは何枚ですか?

100枚以上 50~99枚 30~49枚 10~29枚 1~9枚 0枚
9.7 10.4 11.3 30.2 33.6 4.7

音楽鑑賞(CD、音楽配信、コンサートチケット、アーティストグッズ等)のだいたいの年間支出額を教えてください

10万円以上 5~10万円未満 3~5万円未満 1~3万円未満 1万円未満 無回答
8.2 9.4 12.3 25.5 44.3 0.3

― アンケート結果をご覧になった感想をお願いします。

野村達矢さん(以下野村と敬称略):ライブに行っている人が少なくて、実は衝撃でしたね。
でも音楽を聴いているか聴いていないかというと、聴いている人はたくさんいて、音楽に興味を持っているけど行動に移すところにはまだ行っていないように思えます。

― 学生たちは、野村先生の「体験の大事さ」についてのお話を真剣に聞いていました。

野村:学生には、もっとアクティブに行動を起こし体験することの大切さを話しました。自分の感度、感性を高めるためには、やはり体験が一番だと思うからです。
肌触りやライブの空気感をどれだけ読めるか。空気を読むというのは、特に体験でしか感じられない、直感みたいなものです。その直感の精度を上げるのもまた体験しかない。
人がたくさんいるところへ行くことは、自分以外の人がどういう行動をしているのかを知ることができるし、そのなかで、何となくでもいいから感じていくことが凄く大事だと思います。

― それは部屋の中で音楽を聴いていることとはまったく違いますからね。

野村:学生たちはこれから世の中に出て就職するなかで、小さな枠に収まって欲しくないです。どんどん自分の可能性を広げていかなければならないし、行動して体験することを意識的にもっともっとすべきだと思います。

― また講義では、音楽コンテンツ・ビジネスの市場規模の推移、例えばCDの売り上げが減り、コンサート入場料収入が増えている等のお話をされました。こういった時代の変化に対応していくためには、どんな勉強をすればよいと思われますか?

野村:僕は、現場を忘れないようにしていますね。こういう仕事をして、ある程度のポジションになってくるとデスクワークや管理業務が増えてきますが、なるべくコンサート、レコーディング、ラジオやテレビの収録も、時間が許す限り現場に行くようにしています。それは、お客さんを見ることがとても大事だと思っているからです。一番はコンサートで、ダイレクトに観客を目の前で見ることができますし、どういう場面で楽しそうな顔をするのかもよくわかります。
 それはスイッチが入った瞬間というか、観客が感激する瞬間がどういうタイミングで訪れるか、これを見る機会を増やすことで自分の体感を忘れないようにしています。しかも、年齢層によって反応も違うし、地域によっても違うので、様々な場所でいろいろな場面を見るようにしています。

― 時代の変化を雑誌などから知るというのは、いかがですか?

野村:僕はあまり雑誌や本は読みません。なぜなら、雑誌に書いてあることはおそらく過去のことでしかなく、読んでから行動を起こすとタイムラグがあります。会社の会議でも、本や雑誌にこういう風に書いてあった、新聞にも書いてあったということを中心にものを言うスタッフには意見を言います。
書いてあるから、流行っているからと言って、それに乗っかるのはもうすでに遅い訳です。もちろん一つの情報として雑誌や新聞の記事を知ることも必要ですが、しかし現場が一番アップデートされていると僕は思っています。

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