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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 6

夏目公一朗さん
Interviewee

REC.008 夏目公一朗さん

一般社団法人アニメジャパン副理事長
(株)アニプレックス スーパーバイザー/(株)KADOKAWA映像事業局戦略顧問

プロフィールの詳細


CHAPTER.2
直面している課題

講義中盤は、劇場アニメの制作費とその回収について。「作品の制作費は最低でも2億円かかり、上限はありません。また、宣伝費と公開費用で5000万円以上かかりますが、これは公開規模次第。全体の収益の種類は、劇場公開(最初の露出による興収〜配収)、また、ビデオグラム、DVD、BD、商品化されるパンフ、ゲーム、グッズ、遊技機などがあります。番組販売ではテレビでの放送、再放送、配信、そして海外展開などで、このなかの4割が製作委員会に戻ります」と話し、2016年の映画興行収入ランキングを紹介しました。

1位『君の名は。』(235.6億円)、2位『シンゴジラ』(82.5億円)、3位『名探偵コナン 純黒の悪夢(ナイトメア)』(63.3億円)、4位『妖怪ウオッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』(55.3億円)、5位『ONE PIECE FILM GOLD』(51.8億円)、6位『信長協奏曲 ノブナガコンツェルト』(46.1億円)、7位『ドラえもん  新・のび太の日本誕生』(41.2億円)、8位『暗殺教室〜卒業編〜』(35.2億円)、9位『Orange —オレンジ-』(32.5億円)、10位『聲の形』(23億円)。

ベスト10のなかになんとアニメ作品が6本も入り、最終的にはアニメ全体で500億円の興行収入が見込まれ、今日のアニメの隆盛が伺えます。しかし、夏目さんは「アニメ業界が直面している課題」について、学生たちにこう説明しました。

「日本のアニメは凄く進化し、その進化に感動してくれるファンは海外でも多く、海外のアニメイベントは動員数が毎年増えています。しかし、みなさんも感じているかもしれませんが、今、日本のアニメは供給過多による飽和状態で、類似作品も多くマンネリ感などいくつかの課題があります。我々は常に新鮮な物語、斬新な映像を求めていますが、原作不足に直面しています。そこで多くのプロデューサーたちはUGC*から原作になり得るソースを探し続けているんです」
(*user generated content…プロフェッショナルではなく、一般ユーザーが作成する文章、音楽、映像などさまざまなデジタルコンテンツの総称)

夏目さんは、「これは私が今日みなさんへ話したかったことの一つ」とし、「作り手側は少しでも面白いものはないかと、未成熟でも未完成でもいいから面白い世界観や発想を持っている若者を探していますので、面白いものがもし自分のなかに貯まっていたら、ぜひUGCに投稿してください。チャンスだと思います!」

終盤は、海外販売の成長に向けて「今アニメ業界はようやく『点』から『面』へ、『個』から『業界』へと日本連合による海外展開が進み、世界同時マーケティングで正規配信を日本と同時展開する動きが盛んになっています」と最新の取り組みについて話し、最後に夏目さんがこれまで現地取材したロサンゼルスやシンガポールでのアニメイベントの様子がスクリーンに映し出され、外国人コスプレーヤーたちによるドラゴンボールやセーラームーンなどの念の入ったマニアックなファッションに学生たちは緊張がほぐれ、和やかな雰囲気のなか講義は終了しました。

次回は(株)Zeppライブ フェスティバル事業部 部長、橋元恵一さんです。

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