A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 2
CHAPTER.3
盗んで学んだやつが勝っていく。
― 山本さんは1982年(昭和57年)の入局ですが、当時の雰囲気はどうでしたか?
山本:指導してくれた先輩が僕より一回り以上年上の方で、無茶ばっかり言う人だったんですけど、楽しかったですね。毎日飲みに連れて行かれて、明日までに「これとこれやっとけ」と言った後、「じゃあ飲み行くぞ」と次々連れ回され、朝まで飲んで帰してくれない訳です(笑)。そのまま朝方に会社に一緒に行くと「あれは?」と言うんですよ。「あれは?」って、「ずっと一緒だったじゃないですか」と答えると、「それとこれは違う」と受け付けない。「わかりました。2時間仮眠していてください」と言って、その間に仕上げましたけどね。昔は4、5人で番組を作っていたので、こんなこともあった訳です。今は分業体制で、デジタルだからいくらでも時間をかけられる。当時、編集はダビングで行っていたので、これ以上は編集できなくなるというリミットがあったんですね。だからそんなに編集もできないんですよ。そういう時代だったから、面白かったですね。
― 現在、若手を育てるうえで、どう教育をしていくのですか?
山本:もちろん、先輩後輩ですから、当然教えてはいきますけど、そこはもう「見てどれだけ盗むか」みたいなところですよね。言葉は悪いかもしれませんが、盗んで学んだやつが勝っていく。手取り足取り教えるわけじゃないですからね。
― アシスタントならまず3年など、時間的な基準はあるんですか?
山本:ありません。番組にもよりますからね。先程お話した、僕を指導してくれた人は僕より一回り以上年上だったこともあって、その間ADは僕一人でした。30歳のときにプロデューサーになったんですけど、今は30歳でもADの人がいます。どんどん下がつかえてくるというか、それはあまり良くないことなんですけど。僕らの頃は上の人が辞めた後、35歳位がいちばん上でした。そんな年代の4、5人でミュージックステーションを作っていたときもありましたからね。逆に、またそういう時代にならなければいけないな、とも思います。
― ありがとうございました。
(次回は、音楽評論家の平山雄一さんです。)
バックナンバー season 2
東京工科大学
年別記事一覧