A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 4
CHAPTER.1
視野を広げるためには、リアルな体験が大切
― 受講した学生たちの印象をお聞かせください。
野村達矢さん(以下、野村と敬称略):いつもより受講生が多く、積極的だったと思います。
― 本年度は、ゲスト講師の皆さまに「視野を広げるために、今、どんなことが必要か?」という共通の質問をしております。野村先生はいかがですか?
野村:ネットが発達するほどに疑似体験のなかで色々なことを“やった気”になってしまい、頭でっかちの知識になりがちですよね。しかし、それはあくまで疑似体験ですから、視野を広げるためにはそこに留まらず、例えばYouTubeでライブ映像を見ていいと思ったら、次はライブに足を運んで実体験することが大事だと思います。画面を通じて体感するのとはまた感じ方が違うし、ネット上で得た知識がたくさんあるのであれば、それを確認しにいく実作業、リアルな体験が必要です。疑似体験だけだと、経験を元にしていないから、言葉も理屈だけで裏付けのなさを相手は感じる。リアルな体験を基に自分ならどうしたいか、こういったことが基本になると視野の角度も広がりますよね。
― 野村先生は、学生時代にどんなことに興味を持たれていたのでしょうか?
野村:中学の頃からロックを聴きはじめ、高校になると特に忌野清志郎さんのRCサクセション、YMOやシーナ&ロケッツみたいなニューウェイブ系のバンドが好きでした。楽器にも興味があったけど、プレイヤーとしては自分なりに限界を感じ、プレイする側じゃなくて、違う立場で音楽に関われる方法があるんじゃないかと、ぼんやり考えていました。でも高校の時はそれが何なのか、全然わかりませんでした。
大学に入学してすぐ、校門を入って左側の一番いい場所にテーブルを出して部員募集をしていたのが、現在キャピタルヴィレッジの社長をなさっている荒木伸泰さん(ACPC理事)が立ち上げたプロデュース研究会だったんです。そこで、演奏をしなくても音楽に関われる仕事があることに気がつき、裏方として音楽を支えていくようなことに興味を持ったわけです。それからは、サークル活動を一生懸命やっていました。
― プロデュース研究会で、野村先生はどのようなことをなさっていたのですか?
野村:メインは、春・秋と年に2回ある学園祭の企画です。呼ぶアーティストやプロダクションの方に対して、しっかりした仕事や仕切りができるか。部長の荒木さんは、学生でもプロのレベルにどれだけ近づいてやれるかという、プロ意識が高かった。細かなことが多く、サークル活動だけで1年間のスケジュールがほぼ埋まります。学生の知識だと追いつかない部分もあるので、音楽関係のアルバイトも色々とやりました。一番勉強になったのはコンサートの現場です。バイト代は凄く安かったけど、様々なことを知りたい気持ちが強かった。当時はインターネットもなかったので、現場でわからないことは図書館へ行って舞台芸術の本を読んだり、照明や音響、道具とはどういうものかを調べたりしました。それは今でも糧になっていると思います。
― 具体的にどのようなコンサートを企画されたのですか?
野村:明治大学のプロデュース研究会は荒木さんがゼロから立ち上げ、他の人がやらないようなコンサートの企画を行っていたので、マスコミにもよく取り上げられました。僕が企画したのは、解散したロックバンドの再結成や、RCサクセションのギタリストのCHABO(仲井戸麗市)さんのソロコンサートなど、本当に自分がやりたいと思うことをやっていました。
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