A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 7
CHAPTER.2
米津以前、米津以降
講義中盤から、吉田さんは最近のアーティストたちの新しいスタイルや未来に向けて、アーティスト・プロデューサーの考え方や取り組みについて熱のこもった話が続きます。
「僕のなかでは『アイネクライネ』(14年)を歌った、米津玄師がそれまでの日本の音楽を革命的に変えたという思いがあります。そこからアーティストを米津以前、米津以降という区分をしています。先ほど話に出たビリー・アイリッシュ、また、中高生に人気のEveやヨルシカなど米津以降、いろいろな世界観を持ったアーティストが出ています」
ビリー・アイリッシュは11歳の頃から音楽をつくりはじめ「Ocean Eyes」(16年)にSoundCloud(※2)でリリースして口コミで広がり、EveやヨルシカはボカロP(※3)というデジタルな文化をルーツとし、アナログ的なアレンジで独特の表現をしています。
(※2 SoundCloudとは、約4000万人のユーザーが登録している音声ファイル共有サービス。ドイツ・ベルリンを拠点とする)
(※3 ボカロPとは、ボーカロイド(VOCALOID)技術を駆使して創作活動を行う人の通称。 作曲・編曲をしてVOCALOIDに歌わせたり、音楽プロデューサー的な活動をしている。 ボカロPという表現は、ニコニコ動画から普及したとされる)
吉田さんが続けます。
「ずっと真夜中でいいのに。の話をします。彼女も米津以降のアーティストの一人で、音楽の傾向は、60年代のボブ・ディランがそうだったように内省的、文学的で、ここに共感しているファンが増えてきています。時代は変わります。でもモノづくりには変わるものと変わらないものがあります。変わらないものはいいものを創ること、その情熱。変わるものは伝える手段とその時代の人の気分です。ここでエンタテインメント業界に進もうとしている方は、モノづくりをする側として、人の気分をどう捉えるか、どうやったら人の気持ちのなかに入っていけるのか、このことを意識してほしいと思います」
そして最後に、「これからもいろいろなアーティストが出てくると思いますが、いいものはいいと、そして、いいものを作り続けていくのが僕たちの仕事です」と講義を締めくくりました。
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