CHAPTER.1
吉本興業ホールディングスの事業プラットフォーム

「吉本興業の歴史は1912(明治45)年、創業者である吉本吉兵衛、せい夫婦が、天満八軒のひとつである『第二文芸館』を入手、寄席経営の第一歩を踏み出したことから始まりました」と、奥谷さんの講義は始まりました。創立者、吉本せいをモデルとし2017年度下半期に放送されたNHK連続テレビ小説、『わろてんか』が思い出されます。

通称よしもとは、現在、吉本興業ホールディングス株式会社となり、奥谷さんは、吉本興業ホールディングスのプラットフォーム、つまり今、よしもとが行っている事業について、以下のように説明しました。

それは、タレントマネジメントからコンテンツビジネス、スクール事業など多岐にわたるもので、学生たちには想像以上の事業展開だったと思われます。

「タレントマネジメントは、よしもとの根幹を支える事業として芸人をはじめ、野球やサッカーなど様々なジャンルのスポーツ選手、俳優、文化人、ミュージシャン、ダンサー、パフォーマーなど、所属するタレントは今や6000名以上です。また、全国で13の劇場を運営し、ライブ制作では、全国各地でお笑い公演や海外からのショーの招聘、ガールズイベントなど多彩なジャンルのイベントを制作しています。今後も幅広い分野のエンタテインメントと融合した新しいショーを開発していきます。そして、テレビ番組制作を行っていますが、こちらは年間約5000本、特別番組やドラマ制作も展開。バラエティ番組に加え、音楽、料理、子ども番組、ドラマ、映画、ドキュメンタリーなど多彩なジャンルが特色です。そのなかで。テレビ局との共同制作『ダウンタウンDX』(YTV)、『炎の体育会TV』(TBS)、『M-1グランプリ』(ABS)、CSチャンネル『KawaiianTV』など、みなさんもご存じかと思います」

放送されているバラエティ番組からも、圧倒的な番組制作能力をよしもとが事業の中心にしていることは、学生の誰もが知るところですが、奥谷さんはこう続けました。

「それから、チーム運営や地域活性化のスポーツ事業があり、また、コンテンツビジネスでは、パッケージからデジタルコンテンツを自社で企画・制作しています。動画プラットフォーム、よしもとの動画コンテンツは10万本以上です。ここでは、様々な動画プラットフォームとドラマ、バラエティ、アニメなど動画コンテンツを制作、また、電通様と立ち上げたコンテンツファンド『YDクリエイション』では、企画・出資・制作・配信をワンストップで行い、新たな配信ビジネスの潮流を目指しています。
Netflixでは、又吉直樹の芥川賞受賞作品『火花』、明石家さんま企画・プロデュース、『Jimmy〜アホみたいなホンマの話〜』、amazonプライム・ビデオでは、『HITOSHI MATSUMOTO Presennts　ドキュメンタル』が配信されています。他にも、ニコニコ動画、ひかりTV、AbemaTV 、YouTube、Huluからもいろいろな番組が配信されています。
ソーシャルメディアについては、Twitterフォロワー4500万人、Instagramフォロワー3000万人、LINE友達1000万人といった所属タレントのソーシャルメディアパワーを生かし、オリジナルコンテンツを制作し、様々なソーシャルメディアとも企業の販促キャンペーンなどのビジネス展開をしています。新たなデジタル企業との取り組みとして、Blue Planet-works、PARONYM、Extractorがあります」

学生たちは、渡辺直美がInstagramのフォロワー900万人で芸能人ランキング1位であるなど、あらゆるメデイアでよしもとの芸人が活躍していることをよく知っています。
奥谷さんは次に、ダウンタウンやナインティナインなど、数多くのスターが巣立った「ニュー・スター・クリエイション(NSC)」(1982年に開校)をはじめ、
2019年にお笑いビジネスのスキル習得を目的とした「NSCビジネスコース」や福岡、名古屋をはじめとする「NSCエリア校」、2019年10月に開校したシナリオライターを養成する「よしもとライターズアカデミーウエスト」のことなど、よしもとのスクール事業について話し、今後、2025年の大阪万博によしもとがどのように関わっていくのかについてもふれました。