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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 7

夏目公一朗さん
Interviewee

REC.011 夏目公一朗さん

(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント スーパーバイザー

プロフィールの詳細


CHAPTER.1
制作現場とアニメ業界の変化

登壇した夏目さんは「まず、世の中にアニメを送り出すための、その組織と運営について話します」と、スクリーンにはその構造図が映し出されました。

[製作委員会を構成する主な企業]
ビデオメーカー
テレビ局
出版社
映画配給会社
制作スタジオ
レコード会社
広告代理店
玩具メーカー
配信会社

「製作委員会の全体の責任者は、ビジネスプロデューサーです。委員会を構成する企業がリスクを分散させ、シナジー効果(相乗効果)を狙って、組織・運営を行っていきます。製作委員会は、全体の企画、資金調達と利益分配を考えます。次に実際の作品づくりを手がける制作スタジオについて説明します」と夏目さん。

(※アニメ業界の慣用として、「製作」はアニメ化の企画・立案や資金調達に関わるアニプレックスなどの企業連合を、「制作」はA1ピクチャーズなど実制作を業務とするアニメスタジオ等を指します)

[制作を行う主な人や企業]
フリーが中心の監督、脚本家、キャラクターデザイナー
制作スタジオ(元請け・下請け)
背景美術会社
CGプロダクション
音響制作会社
声優プロダクション

「制作全体の責任者は、ラインプロデューサーです。作品クオリティの責任者は監督になります。ラインプロデューサーは、納期管理と予算管理を行い、監督が制作費の予算やスケジュールをオーバーさせてしまう可能性があるので、それらも管理します。ラインプロデュサーの下にいわゆる制作進行といわれる人たちがいます。制作スタジオが、みなさん、いちばん興味のあるところだと思います」と、続いて動画、原画、CGなど制作スタジオの仕事について掘り下げていきます。

「大手スタジオでクリエーターを目指す人は、キャラクターデザイナーや原画マンになるためのステップとして、最初に動画を描いて修業を重ねます。アニメは1つの作品に50〜200名ぐらいのスタッフが携わっています。大手のスタジオはCG班を持っておりますが、外注のケースもあります。ここで絵を描ける人とそうではない人の話をしますと、背景美術会社以外なら、特に絵を描けなくても様々な職種があるので就職するチャンスはたくさんあります」

次に夏目さんは、制作費について解説しました。

「深夜系のTVアニメは、2018年で332本ものシリーズものが放映されています。その6〜7割が夜の11時以降の大人向けのもので、これは世界的にもまれで活況を呈しています。そこで制作費ですが1話を作るのに 深夜系で1話1800万円〜2500万円が必要です。1クール12話で2億〜3億円、2クール24話で4億〜6億円、4クール50話で8億〜12億円、この他にTV提供費・宣伝費(製作委員会負担)が必要です」

夏目さんは、こう続けます。

「みなさん驚かれるかもしれませんが、日本のアニメの9割は赤字で1割の作品が生み出す利益でまわっていると認識してください。劇場アニメでは2014年の『アナと雪の女王』、2016年には新海誠監督の『君の名は。』が大ヒットしますが、劇場アニメ制作費は2億円から上限はなしです。宣伝費は、公開規模にもよりますが、5000万円以上が必要になります。ちなみにアメリカの『アナと雪の女王』は100億円といわれています。劇場アニメの収益の種類は、劇場公開、イベント、ビデオグラム、グッズの商品化、番組販売、配信、海外展開になります」

また、メディアの変化とイベントの隆盛についてもふれました。

「Amazonプライムは500万人の会員がいて、そのうちの200万人がアニメを観たくて入っているといわれています。新しいネットワークが台頭しているなかでDVDなどのパッケージ売り上げはピーク時の半分になり、片や伸びてきているのが配信です。2014年、18億円から現在では600億円の市場が見えようとしています。そしてアニソンライブは、2017年には約1600公演あり、235万人の動員、また2.5次元ミュージカルは223万人の動員でどちらも膨らんでいます。それから、関連市場の広がりも見逃せません。アニメツーリズム(聖地巡礼)は、自治体のまちおこしにもなっています。またライブビューイング(声優や監督の舞台挨拶と上映)や、作品と連携するコラボカフェなども活気づいています」

アニメツーリズムやコラボカフェなどを体験している学生も少なくなく、誰もがここ数年のアニメ業界の変化を肌で感じているはずです。

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