A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
講義内容 (2017年度 東京工科大学実施)
音楽産業の発展と軌跡2017年9月26日
9月26日、一般社団法人コンサートプロモーターズ協会の中西会長が、今年で11年目を迎える提携講座「メディア特別講義Ⅱライブ・エンタテインメント論」第1回目に登壇し、東京工科大学メディア学部の2〜3年生を対象(約250名)に、片柳研究棟大ホールでライブ・エンタテインメントについての講義を行いました。
大学卒業後、ミュージシャンとしてメジャーデビューの経験もある中西会長は、まず、「日本の音楽産業はどのような歩みを経てきたか」をテーマに自身の原体験から、1960年代のビートルズ旋風、グループサウンズや加山雄三などの人気ぶりを、そして70年代に入りラジオからはロック、テレビの歌番組からは歌謡曲のヒット曲が生まれたというメディアの特性を説明。そして70年代後半から吉田拓郎、井上陽水、山下達郎、荒井由実、サザンオールスターズといったアーティストたちによるフォーク・ニューミュージックの時代が始まったと語り、当時まだ生まれていなかった学生には、昭和の音楽の多種多様性について、その歴史の断片を知る手がかりになりました。
音楽産業は、どのような歩みを経てきたか
1980年代についてはマイケル・ジャクソンの大ヒット作『スリラー』(82年)のエピソードから「このミュージックビデオは音楽の歴史を変えました。それまでになかったストーリー仕立てのショートムービーのようで凄く格好よかったんです」、「ここからアーティストはテレビ出演よりミュージックビデオを制作するようになり、プロモーションも変化していきました」と、日本のアーティストたちがビジュアルを重視するようになった源流を解説。当時デビューしたBOOWY、レベッカ、TM NETWORKの躍進、また同時期にデビューしたR&Bの久保田利伸、ハイトーンボイスの徳永英明に対し「彼らは声だけでわかるアーティスト。今、こんなアーティストはいますか?」と学生に投げかけました。
時代、環境の変化と音楽産業への影響
今ではコンサート会場としても頻繁に使用されている東京ドームが1988年に、横浜アリーナが89年に完成したことによって、90年代以降、大規模なツアーの増加へとつながっていく契機となった当時の状況を振り返りました。
ライブ・エンタテインメント産業の課題
講義の後半では、拡大傾向にある2017年上半期の市場規模を説明し、更なる発展に向けたライブ・エンタテインメント産業の課題を述べました。社会問題でもある少子高齢化はライブに足を運ぶ客層の変化にもつながり、その対応が求められること、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて各会場が改修に入るため会場が不足することなど、取り組むべき問題は多岐に渡ります。中でもチケットの高額転売問題は喫緊の課題であり、業界全体で対策に取り組んでいることを伝え、講義を締めくくりました。
※肩書きは講義当時のものです