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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
講義内容一覧 (2014年度 東京工科大学実施)

第2回 TVの仕事 〜ミュージックステーションができるまで〜

2014/9/30

第2回目となる提携講座は、記録的な長寿番組、テレビ朝日系『ミュージックステーション』を、スタート時から担当するプロデューサーの山本たかお氏が登壇。学生たちは、実際の番組制作のドキュメンタリー映像を食い入るように観ながら、山本氏が発する言葉一つひとつに聴き入っていた。実は、現場の裏側を映した映像は、どこにも公開していないのだという。夢を与える世界のプロとしては、裏は観せないとのスタンスがあるのだが、将来一緒に仕事をする可能性がある学生には、制作現場を理解してほしいとの判断から公開したと語る。『ミュージックステーション』一本を作るには、出演者との交渉やリハーサル、撮影準備など、多くの仕事を300人余りのスタッフと連携して進めていくとのことだが、その期間はわずか3週間。限られた時間の中であのクオリティを生みだしていることに学生たちは一様に驚く。また、生放送にこだわる理由については、「出演アーティストのオーラや緊張感、ハプニングを期待しているから」。さらに音楽重視の番組編成でアーティストとの信頼関係を大事にしていることなど、『ミュージックステーション』が視聴者、出演者、そしてスタッフからも愛されている理由が、講義のあちらこちらから感じられた。なお、ドキュメンタリー映像は、女性ディレクターがクローズアップされ、彼女の仕事ぶりを中心とした内容になっていたが、山本氏は、「今や女性の力がディレクター業務にも必要になってきた時代であり、女性らしい演出が、きっと近いうちに画面に出てくるだろう」と期待して講義を締めくくった。

講師 山本たかおさん

株式会社テレビ朝日 編成制作局 エグゼクティブプロデューサー/ミュージックステーション チーフプロデューサー

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山本たかおさん

第3回 ライブ・エンタテインメントの現在

2014/10/7

第3回は、音楽評論家として活躍する反畑誠一氏が講師を務めた。まず音楽評論家の仕事についての説明では「広辞苑によると、評論というのは物事の価値・善悪・優劣などを批評し論ずること」と前置きし、アーティストとリスナーをつなぐ役割を担う立場から、自らの嗜好を基準に好き嫌いと評論をしないことを基本にしていると語った。また、音楽業界の分析では「昨今はCDの売り上げが右肩下がりだが、コンサート市場は年々拡大してきており、コンサート分野は今後さらに注目されるだろう」と予測。反畑氏自身、常に新しい音楽やアーティストの発見にアンテナを広げるために年間およそ180本ものライブに足を運ぶという。このようなフィールドワークを基に、音楽批評ではライブを観て感じたことと、客観性・普遍性を保つために国内外の歴史や知識を知り、比較することを大切にしていると語った。学生には、「新世代のエンタテインメント産業人」として活躍することを期待しているとし、そのためには国際的視野で思考できることの必要性を説いた。①ニューメディアの産業構造に精通する ②新たなマーケティング手法を習得する ③関連法規の基礎知識を習得する ④専門領域を選択し才能を特化させる ⑤感性を磨き創造性を豊かにする ⑥人間好きであれ。この6項目を身につければ、エンタテインメント業界から求められる人材になれるとのこと。そして講義の最後には、「音楽をたくさん聴いてほしい。大切なのは良し悪しを考えるのではなく、心から楽しむこと」とメッセージを送った。

講師 反畑誠一さん

音楽評論家

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反畑誠一さん

第4回 音楽制作とライブ・エンタテインメント

2014/10/21

第4回の講義は、演奏家の権利関係も含め、アーティストたちがどのようにシンセサイザーを組み入れていったのか、歴史的に振り返りつつ、松武秀樹氏自身のエピソードも交えながらの内容となった。生の楽器が物理的な空気振動によるサウンドの発生なのに対し、シンセサイザー等の電子楽器は、スピーカーから空気を振動させてサウンドを生み出す。その歴史は20世紀初めにシンセサイザーの基礎が登場し、1964年頃から量産化されたという。その間に、メイヤー・エプラーが電子音楽の研究発表を行い、右手で周波数を、左手でボリュームを操るテルミンが開発され、日本でも武満徹を筆頭に電子音楽が作られるなど、徐々に広まっていった。その後、1970年代になるとレコーディングは複数トラックを駆使した多重録音の時代に突入。それにともないシンセサイザーを用いてオリジナルの曲を演奏するアーティストも登場し、特にビートルズなどが使用したことから、ポップスやロックなどを中心に広まっていったのだと松武氏はまとめた。そして現在、DAW(Digital Audio Workstation)の自由度は計り知れないほどであり、「テクノと歌モノの融合を完成させたダフト・パンクやマドンナ、レディー・ガガなどは電子音楽を駆使した作品を次々発表しています。シンセが発明されて約50年ですが、これからも進化は続くでしょう」との今後を予言する言葉に学生たちの目は輝く。さらに、アナログ演奏についは「時代が過ぎたからといってアナログが古くなったわけではない。歴史へと形を変えただけ」と語った。

講師 松武秀樹さん

作曲・編曲家/一般社団法人演奏家権利処理合同機構MPN 副理事長/公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 常務理事

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松武秀樹さん

第5回 ライブ・エンタテインメントの現場から

2014/10/28

第5回の講義は、ACPC常務理事の山本幸治氏が講師を務めた。ACPCは、音楽産業界のひとつであるライブ・エンタテインメントをファンに提供する全国のコンサートプロモーターが集まり、ライブ・エンタテインメント産業の研究や啓蒙活動を展開。その発展に寄与することを目的とした活動を続けている。山本氏は、ACPCの業務から現在の音楽業界の状況などについて熱心に解説していった。現在、ACPCが力を入れていることは、ライブ・エンタテインメントに関する各種の公益事業を実施し、多くの人にライブを楽しんでもらえる環境の整備。また、音楽業界の現状としては、昨今、CDやDVD、音楽配信が伸び悩んではいるものの、ライブの売り上げや年間公演回数は右肩上がりであり、ライブ・エンタテインメントというコンテンツとしての価値は高まっていると語った。このような状況は2000年代初めから増加傾向にあり、要因としては、フジロックなどの大規模なフェスが文化として浸透してきたことや、K-POPアーティストの公演、アニメやヴィジュアル系などのサブカルチャー系コンサートの定着などが挙げられるという。最後に、音楽業界が抱える課題として、少子高齢化による客層の変化に早急に対応すること、さらに東京オリンピック開催にともなう改修工事による会場の不足、チケットの転売やTPP参加による知的財産権についてなど、これら問題をいかにクリアしていくかが、音楽産業の発展に欠かせないポイントだと語り、講義を締めくくった。

講師 山本幸治

一般社団法人コンサートプロモーターズ協会 常務理事

山本幸治

第6回 アーティスト・マネジメントの現場

2014/11/11

第6回となる講義は、日本音楽制作者連盟の理事であり、BUMP OF CHICKENやサカナクションのマネジメントを手がけている野村達矢氏が登場。会場には多くの学生が詰めかける大盛況のなか、講義がスタートした。現在の音楽コンテンツ・ビジネスでは、CDの制作・販売、ライブ・コンサートの実施が収益の2本柱であるが、CD売り上げの落ち込みが激しい一方で、コンサート入場料の収入は増えていると市場規模の推移について説明。こうした変化のある時代に対応していくためには「現場を忘れないことが重要」であり、野村氏自身、時間が許す限り現場に行くようにしているという。特にコンサートは、観客を観察できる貴重な機会であり、観客のスイッチが入った瞬間、感激する瞬間がどういうタイミングで訪れるかをインプットすることが、本や雑誌から情報を得るより時代感覚をアップデートできる最善の方法であると語った。 また、BUMP OF CHICKENやサカナクションなどを例に挙げ、マネジメントのノウハウについても解説。前者がデビューした頃はスマホがなかった時代であり、音楽雑誌やラジオなどのメディアには露出はしていたが、本人たちの希望からテレビ出演はNGに。一方、後者の頃にはスマホやTwitterなどのサービスも始まり、新しいメディアやサービスを利用したプロモーションを考えたという。例えば当時YoutubeでオフィシャルのPVを流すことは良しとされていなかったが、積極的に拡散させ、成功するなど、目標・目的のために、アーティスト自身の考えや時代によって移り変わるメディアを考慮したマネジメントを行ってきたと語った。

講師 野村達矢さん

株式会社ヒップランドミュージックコーポレーション 取締役執行役員/有限会社ロングフェロー 代表取締役社長/一般社団法人日本音楽制作者連盟 理事

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野村達矢さん

第7回 アニメーションとライブ・エンタテインメント

2014/11/18

第7回の講義は、株式会社アニプレックス代表取締役の夏目公一郎氏が講師を務めた。講義では、日本のアニメーションの市場規模と海外市場拡大の動きなど、最新情報が満載。学生たちは真剣な表情で聴き入っていた。夏目氏によると、近年、アニメーションの現場では「製作委員会方式」の製作方法が主流とのこと。ビデオメーカーやレコード会社、テレビ局、広告代理店、出版社など複数の会社がスポンサーとなるこの方式で、さまざまなリスクは回避できるようになったが、関わる会社が増え、興行収入や利益の配分などの関係性が複雑化していることも事実。そのため「アニメーションや映画のプロデューサーには、細やかな調整力やこのような時代を乗り切る忍耐力が求められている」と語った。さらにアニメーション業界の今後については、スマートフォンやタブレットなどのデバイスの普及により視聴が拡大し、加えてアニメイベントのライブビューイングや聖地巡礼による地域振興、アニメツーリズムなど、日本のアニメ産業には、現在も今後も、多くの可能性が秘められており、チャンスを掴める分野との認識だ。海外に目を向けるとJapan Expoなどを通して日本のコンテンツやアニメ文化が急速に浸透中だが、収益は以前より減少し、アニメバブルは消滅したとの認識を示した。今後の海外市場に向けた課題として夏目氏は、「正規コンテンツの世界同時配信、共同配信用のサイト、各種エキスポへの合同出展、アジアでの日本チャンネルの立ち上げ、フルCGハイクオリティアニメの製作などが必要」と語り、世界各国のファン開拓を続けることが重要と語った。

講師 夏目公一朗さん

株式会社アニプレックス 代表取締役/株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント/ コーポレイト・エグゼクティヴ COO ビジュアルビジネスグループ担当

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夏目公一朗さん

第8回 グローバル社会の中の音楽コンテンツ

2014/11/25

8回目は、メジャータレントを数多く抱える芸能プロダクションであり、CM・テレビ番組などコンテンツの制作も手がけるホリプロ代表取締役社長、堀義貴氏が登場。今回の講義では『グローバル社会の中の音楽コンテンツ』をテーマに、エンタテインメントの未来を担う学生たちに、日本の音楽コンテンツの可能性について語った。音楽コンテンツの現状について堀氏は「ライブ・エンタテインメントの分野は日々進化していて、世界的にも音楽が視聴されなくなったという事実はありません。しかし、音楽が“商品”として購入されなくなったという事実はある」と解説。このことから、アーティストやコンテンツの魅力が市場に受け入れられるか、時代に合っているか、その魅力を引き出すタイミングが合っているかという判断をするマーケティングのセンスを磨くことは、非常に重要であると語った。また、将来の展望としては、アーティストの海外進出も視野にあり、特に人口増加の著しい東南アジアでの競争はますます激しく、エンタテインメントを売り出すには、その土地や文化、また日本の文化を十分に把握し、それらをどう組み合わせるかが大事とのこと。「極論だが、海外展開しなければ20年後生き残る道はない」と述べ、2.5次元ミュージカル『デスノート The Musical』の海外公演を手がけるなど、今後積極的に海外進出していく意向を示した。世界で活躍したいと思っている学生たちへ、「世の中にある全てが刺激であり、それを摂取していく必要がある」と熱く語り、講義を締めくくった。

講師 堀義貴さん

株式会社ホリプロ 代表取締役社長/一般社団法人日本音楽事業者協会 会長

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堀義貴さん

肩書きは講義当時のものです

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