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A.C.P.C.提携講座 講義録

A.C.P.C.提携講座 産業概論から実務的なビジネス論まで幅広いテーマの講義を展開
アーティストのプロデュースとプロモーション戦略

ライブエンタテインメント論東京工科大学実施

2017年10月3日

提携講座3回目は、(株)ワタナベエンターテインメント取締役、吉田雄生さんを迎えました。吉田さんは、中川翔子、RAG FAIR、INSPi、そして女性ボーカルグループ、リトル・グリー・モンスターのプロデューサーです。講義ではまず、アーティストをプロデュースするノウハウについてラーメン屋を例に「行列をつくるにはどうしたらいいですか?」と学生に投げかけました。「行列から口コミが生まれ、やがて評判をつくり出す。これは、アーティストのプロデュースも同じです」と、ユニークな角度から解説。学生たちにとって身近な話題からエンタテインメントを掘り下げるきっかけとなり、質問がとても多い講座となりました。

ミュージック・ビデオの歴史的な話題作から

吉田雄生さんは壇上に登場すると、学生たちを見渡し「ちょっとアンケートを取ります!」と、こんな質問から講義が開始しました。(受講生約250名)

「テレビを観ている人?」(学生の挙手約8割)、「毎日テレビを観ている人?」(約6割)、「テレビがなくては生きていけない人?」(5〜6人)、「ラジオを聴いている人?」(約10人)、「YouTubeを観ている人?」(学生はほとんど挙手)、「AbemaTVは?」(数人)、「ニコニコ動画?」(約7割)、「netflix?」(数人)。

本年度で5回目の講義となる吉田さんですが、毎回このような質問から、学生たちのメディアに対する意識を確認しています。そして学生に「メディアの環境が変わるなかで、送り手は変化に対応しなくてはならない。みなさんもこれからその立場になります」と業界の先輩としてのメッセージをおくり、講義テーマ「アーティストのプロデュースとプロモーション戦略」に、学生たちは興味深く取り組みました。

吉田先生は、「僕らの仕事は行列をつくる仕事です。それでは行列をつくるにはどうしたらいいでしょうか?」とアーティストのプロデュースをラーメン屋に例え、「ラーメン屋の『旨かった』はアーティストだと『ライブが凄い』と同じです」と。続いて、「行列ができると、それが評判になり、口コミで広がります。では、どうやって口コミをつくるのか?」と学生に問い、ミュージック・ビデオの歴史的な話題作を取り上げました。

最初にスクリーンに映し出されたのは、ミュージックビデオ(MV)の先駆けとなったボブ・ディランの作品『Subterranean Homesick Blues』(邦題はホームシック・ブルース)1965年)のモノクロの映像でした。

「ライブ演奏をしに行く代わりに、これを送りますので放送してください。といった考えでつくられたものですが、当時はラジオが全盛の頃です。ですから、テレビで拡散されたわけではなく、口コミで広がった作品です」と説明。映像は、ボブ・ディランが自分で書いた歌詞の紙をどんどん投げ捨て、吉田さんは「このアイデアは、サカナクション、リトグリなど、今もいろいろなアーティストが取り入れています」と。また「ボブ・ディランを知らなかったら退場。ちゃんと調べてください」と学生に促し、ノーベル文学賞でボブ・ディランの名前を知った学生も多いのですが、すでに52年前に、紙に描いた手書きの歌詞のアイデアがあったことは新鮮な驚きだったと思います。

次にザ・ビートルズのアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(1967年)の頃に注目し、『レイン』(1966年)や『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』(1967年)のMVがいかにレコードセールスに貢献したかを解説。また、クイーンの『ボヘミアン・ラプソディ』(1975年)のMVが映し出され「このビデオも口コミで話題になり、それまでのレコードランキング外から3ヶ月で1位を獲得する要因になりました。CGもない時代、多重録音を繰り返したクイーンはビジュアルも音質も凄かった」と、吉田さんが原体験した当時のインパクト、そして口コミの力がいかにプロモーションに重要か、学生にもよく伝わったと思います。

講師 吉田雄生さん

(株)ワタナベエンターテインメント 取締役 第二マネージメント本部担当役員

プロフィールの詳細

※肩書きは講義当時のものです

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