A.C.P.C.提携講座 産業概論から実務的なビジネス論まで幅広いテーマの講義を展開
グローバル社会の中の音楽コンテンツ
ライブエンタテインメント論東京工科大学実施
2017年10月24日
提携講座5回目は、講座開設2年目となる2008年度より9年連続でお越しいただいている、(株)ホリプロ代表取締役社長の堀義貴さんの登壇です。堀さんの講義は、グローバル化が押し寄せている日本のエンタテインメント業界のこれからに手厳しい指摘をなさり、そして、様々な事例や史実を例にあげながら、学生たちが今なすべきことは何か?のヒントを与えてくれます。今回は「2007年に『iPhone』が発売され、スマートフォンを持つみなさんの手のひらが24時間、国境もなく世界と繋がっています」という言葉から、講義はスタートしました。
今からでも遅くはない。英語が話せるように準備して欲しい
堀さんは「iPhoneやスマートフォンを持つみなさんの手のひらが24時間、国境もなく世界と繋がっています」と話し、その環境のなかで「自分を高めてくれるコンテンツと、ウソやデマのコンテンツ、これをみなさん自身が選ぶセンスが必要です」と続けました。
そして「ペン・パイナッポー・アッポー・ペン」で世界的なブレイクを果たしたピコ太郎がジャスティン・ビーバーのTwitterで広まったことを例にあげ、「現在では、世界的ヒットを目指す気持ちがなくてもSNSの影響で世界デビューできます。ですから、これからエンタテインメント業界を目指すなら世界を俯瞰で見てもらいたい」と話し、「将来、みんなの役に立つよう、僕が大学の講義で必ず学生にやってもらうことがあります。これからみなさんに世界地図を描いてもらいます」と、堀さんは学生数人をステージに呼びました。
学生がホワイトボードに描いた世界地図は、2通りありました。一つは日本を中央にしたもので、もう一つは日本を右の端っこに描いた欧米から見た世界地図です。
「“WORLD MAP”で検索すると、日本を中央とした“世界地図”ではなく、日本の位置はFar East(極東)、そうなっています。日本が極東に位置されている世界標準地図があるのに、日本人が描くとなぜ日本が真ん中になるのか?こういった位置関係を考えることは、ビジネスでは当たり前に重要です」と堀さんはまず話します。
「世界地図を見ると、日本の位置は北米・欧州からだと飛行機で12時間、アジアも遠いところでは7〜8時間ぐらい。日本は人口約1億3000万人で経済では世界第3位、人口では10位、国の土地面積は61位、でも海を含めると世界7位です。音楽産業はアメリカがダントツの世界1位ですが、日本は2位で2800億円規模です。お隣りの韓国は、人口が約5150万人で音楽産業は150億円ですが、韓国人はアメリカや欧州に移民や留学をし、現地で働いて国に帰り、英語を話せる若者たちが多い。そのせいか韓国はすでに香港、シンガポール、フィリピンなどの英語圏にマーケットを広げています。ベトナムではJ-POPはK−POPの真似と言われ、アジアのマーケットでは日本は遅きに失った感があります。今やグローバルのエンタテインメント業界は英語が公用語。英語が話せないとまるっきりコミュニケーションがとれない」と、日本語のコミュニケーションがグローバルマーケットでは高いハードルになっていることをご自身の体験も交え話しました。そして学生に英語力の必要性を説きます。
「2020年東京オリンピック・パラリンピック以降、僕は日本のエンタテインメントは本当に世界で生き残れるか、崖っぷちを迎えることになると予想しています。なぜなら、世界のパフォーマーは英語でコミュニケーションします。例えば、世界の映画祭などで世界中の監督は一人で活動し、レセプションパーティなどでも通訳を連れているのは日本ぐらいです。そこでどうなるか?通訳を通じて話すと倍の時間がかかり、日本人を呼んでも仕事にならない、正直そう思われています。みなさんは東京オリンピックの頃に就職しているはずですから、今からでも遅くはないので英語が話せるように準備して欲しいし、できればもう一カ国語スペイン語や中国語を話せるとよりいいし、このスキルがあると会社での待遇が歴然と違ってきます」
※肩書きは講義当時のものです