A.C.P.C.提携講座 産業概論から実務的なビジネス論まで幅広いテーマの講義を展開
音楽マーケティング〜ライブ・エンタテインメント論
ライブエンタテインメント論東京工科大学実施
2017年11月14日
提携講座8回目は、(株)Zeppライブ フェスティバル事業部部長の橋元恵一さんを迎えました。ステージには進行役として吉本興業の芸人、スベリー・マーキュリーさんも加わり、お二人のやりとりで講義は進行していきます。橋元さんは、アイドル・アニメソング(アニソン)などを中心とした音楽イベント「@JAM」を立ち上げるなどアイドル業界をよく知る総合プロデューサーで、1997年結成のモーニング娘からAKB48(2005年)、ももいろクローバーZ(2008年)、BABYMETAL(2010年)、乃木坂46(2011年)、欅坂46(2015年)までアイドルの変遷を解説し、「現在、日本には地下アイドルを含め3000グループが存在しています」と紹介されました。続いて「売るためにはどうするのか?」というマネジメントの仕事について話されました。第一線で活躍しているプロデューサーの講義に学生たちは聞き入り、また、アイドルに詳しいスベリー・マーキュリーさんとの対話はユーモアにあふれ、楽しくも経験に基づいた内容の濃い講義となりました。
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スベリー・マーキュリーさん(進行役)
1981年神奈川県生まれ。早稲田大学社会学部卒業。大学2年で吉本興業の養成所に入り、2001年デビュー。埼玉県出身の田島孝一氏とコンビ「こんにちは計画」を結成し活動中。ロックバンドQueenのボーカル、フレディ・マーキュリーを真似したキャラが人気。モーニング娘。のファン。2016年神奈川県大井町笑顔特派員に就任。
音楽マーケットの現在
講義は橋元さんご自身の経歴から、こんな話で始まりました。
「僕は現在、Zeppライブでフェスやイベントの企画などをやっていますが、93年にソニー・ミュージックコミュニケーションズに配属されて、B‘z、Mr.Childrenなどの店頭販促用物や、ノベルティ等の企画制作に携わり、その後、2000年以降はJKデザインやMV制作のクリエイティブ・プロデューサー、そして2010年に人事移動でZeppライブ・へ移りました。そこからアイドルの仕事が始まったのですが、基本的にはアイドルでもロックバンドでも売っていくという事実は同じです。それには切り口が大切で、どこを中心に切って、それをどう売りどころにしていくかがポイントなだけであって、その切り口の違いだけを見つけられれば、そんなに難しいことではないのかなと思います」。
前半は、アイドルのライブを通した「音楽マーケットの現在」を中心に、橋元さんは2017年上半期のオリコンランキングでAKB48、乃木坂46、欅坂46が上位を占めていることを話しました。また、全体のマーケットでCDの売り上げが下降していることについて「音楽配信サービスなど多様化し、いろんなことに挑戦していかなければなりません。そのうえでどうやってアーティストをプロモーションしていくか、これが僕らの仕事です」と、レコード会社のプロモーション・システムについての解説が続きました。
「アーティストプロモーションは基本、原盤制作部門、宣伝担当、A&R(Artists and Repertoireの略。アーティストの発掘から契約、育成、楽曲の発掘などを行なうセクション)のチームで動きます。かつては、メジャーを目指すためにはテレビ、ラジオ、雑誌が中心でしたが、今はナタリーなどの音楽ニュースサイト、Twitter、LINE、Instagram、YouTubeなどのSNS等を交えた独自のプロモーションが行わており、そのなかでもアイドルの多くは、SHOWROOMというアプリでの展開に特化しています」。するとマーキュリーさんは「プロモーション関係に進みたい人?」と問いかけ、挙手した学生を見渡し「少数ですね?」と苦笑い。
橋元さんは「プロモーターはアーティストを宣伝していく仕事、売れたときの喜びはひとしおで、とてもやりがいがあると思います」と熱心に語ります。
続いてテーマは「音楽業界でのマネジメントについて」に移り、橋元さんは「ある意味アーティストの人生を背負うので、一緒に頑張ろうという覚悟がないと務まりませんし、ほとんどの方は365日そのアーティストのことを考えています。これがマネージャーの仕事です。ところで、僕は好きなアーティストについては、やらない方がいいと思っています。アイドルが好きでそのアイドルのマネジメントをやりたいと思うのは、好きという目線は大事だけど僕はちょっと違う。より近くなってしまうので、良い意味で仕事と割り切った距離感を保たないと続けられないと思います。好きすぎると客観性を失いますしね。」と語りました。
※肩書きは講義当時のものです