A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 2
CHAPTER.2
一般教養を身につけることが何より大事
― 吉本興業でマネージャーをやりたいという学生がいたら、どんな勉強をしたらいいでしょうか?
中井:一般教養です。自分の専攻の学問を極め、一生懸命勉強する。たくさんの本を読んで、一般教養を身につけることが何より大事だと思います。教養のないマネージャーはやはりだめですから。
― 広く浅くの方がいいのでしょうか?
中井:広く深くが一番いいんですけど(笑)。特にお笑い芸人のマネージャーになる人は、日本の歴史も経済も、政治も含めて、一般教養がないといけないと思います。
― 吉本興業は新人教育をなさるんですか? マネージャーはこうあるべきとか。
中井:我々の業界は現場に入らないと学べないことがほとんどで、それが8~9割。ですから、基本的には現場で学ぶことになります。あとは方法論など、知らないことは先輩に聞けばいいんです。それを理解した上で、本人の才覚と才能で、どう行動するかということになりますね。
― 仕事の辛さというのはどんなものでしょうか?
中井:自分としては、自信を持って送り出した作品やタレントが、世間一般の評価を思ったほど得られなかったときに「あれ!?」と。僕は自信を持ってこれは面白いと思ったんだけど、こういうときは辛いですよね。
― 次に向かっていくしかないですよね。
中井:そんなとき、世の中はまだ自分について来られないとか、ついついそこに逃げ出したくなってね(笑)。そこでへこたれずに、またやっていこうとか、これはあかんかったから今度はこっちで行ってみようとか、切り替えるまで結構時間がかかるんです、実を言うと。それでも、このタレントいいなと思っていて、でもなかなか日の目を見なかったのが、何年か経って売れると嬉しいですよね。
― 苦楽を共にじゃないですけど、それは嬉しいでしょうね。
中井:芸人は、いつ売れるかわからないんですよ。おじいちゃんになってから売れる人もいて。昔、広沢瓢右衛門(浪曲師1897-1990)さんは80歳近くなってから売れたし、綾小路きみまろさんは50歳を過ぎてからのブレイクですし。つまり、キャリアを重ねてから売れることがあるので、なかなか諦める訳にもいかない。時代が合ってきたら売れると思いますし、のりおよしお(西川のりお、上方よしお)なんか、若い時より今の方が面白いというか、彼らが年齢を重ねて60歳を超えて、あの芸風がちょうど今ハマっているみたいなところがありますね。
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