A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 4
CHAPTER.2
自分の思いを伝えることによって本当になっていく気がする
― 本年度はゲスト講師の方々に「視野を広げるためには、今、どんなことが必要か?」という共通の質問をしています。クレイ先生はいかがですか?
クレイ:いろんな視野の広げ方があると思うけど、自分にあてはめると、ボクシングを始めたことかな。僕は喧嘩もしないし、それまでは凄くハードなスポーツと思ってたんですけど、それまでの自分と真逆なことをやってみることは視野を広げることになりますよね。
― プロテストも合格して後楽園ホールでデビュー戦も行ないましたが、そこまでの経緯を教えてください。
クレイ:ずっと水泳をやっていてスポーツは好きだったんですが、改めてボクシングに挑戦する気持ちは30歳を越えてからです。キマグレンでいたころ、例えば楽屋に案内されるといろいろなものが用意され、移動も同じように、どうしても丁寧に扱われることが多かった。僕はそのときに底辺に行くことが自分に必要だと、ゼロっていうことを常に感じないと自分は向上していかないと思ったんです。そこで、これだけはやってみたくないという真逆のことをやってみた。僕は口内炎ができやすいタイプで、ボクシングは口内炎ができるので嫌だったけど、周りからは反対される隙もなく始めました。
― 凄いチャレンジ精神ですよね。
クレイ:意外に淡々とですよ。僕が行動したくなるのは、自分がそれこそ1日でも仕事が入ってないと危機感を感じるし、やっぱりもっと前に進むために違うことをしようとか、ちょっと勉強しようとか資料集めしようとか、日々ちゃんと前進していくということを考えながら過ごそうと心がけています。講義でも時間の話をしましたが、時間はみんな平等に流れていくので、時間をどう使うかは自分次第じゃないですか。
― それから今日は、箱根で出会ったスイス人のところへ行かれた旅のエピソードもインパクトがありました。
クレイ:その方とは箱根の強羅で会ったんですが、僕が外風呂に入っていたら、外国人のおじいちゃんがうろうろしていたので、英語で大丈夫?って話しかけたら、どうやって入ればいいのかと聞かれたんです。まずバスタオルを置いてきて、手ぬぐいがいいですよって。そうしたら、僕は実はスイスでホテルをやっていると話が弾んで、僕も小さいころに行ったことがあるといろいろ話しているうちに、もしスイスに来る機会があったら寄ってくれと言うんです。でも、そういうことって一回だけじゃないです。実は10月にもベルギー人と鎌倉の小町通りの炉端焼きの店で会って、隣りに座って注文できないでいたから、僕が代わりに注文してあげて、それでいろいろ話すうちにベルギーに来たら案内するからと連絡先も渡されました。
― それで、強羅で会ったおじいちゃんのスイスにはすぐに行かれたんですよね? どちらにお住まいだったのですか?
クレイ:ベルン州のインターラーケンです。パリからチューリッヒを経由してベルンに行き、そこから電車で1時間位です。凄くいいホテルで、本当に来たんだと彼も喜んでくれた。その後は昔スイス旅行したときの記憶を辿って登山鉄道でユングフラウへ行ったり、その間の駅でビールを飲んだり、のんびり…してないな。すぐにイタリアのパレルモへ行って、シチリア、ベネチアをまわって、パリに戻って一週間の旅行でした。
― やはり、旅行は視野が広がりますよね。
クレイ:旅はいろんな人に会います。そこで、自分の考え、無謀な考えでも何でも話し続けて言い続けることが大事かな。僕は、こういうことをやりたいんだ、こういうことを考えてる、いつかこうなりたいということを伝えて、伝えることによって本当になっていく気がします。僕は、これまでの人との出会いのなかで、上司に恵まれたり先輩に恵まれたり仲間に恵まれると、その人の人格というのは変わっていくんじゃないかなと思うんですね。付き合った彼女とかもね。
― 今日の講義の「挑戦することを忘れないで、そして出会いを大切にすること」は、学生にはしっかりと刻まれたと思います。
クレイ:僕は、もちろん社会人として責任を持って仕事に取り組んでいきますが、個人としては資格を取ったり、旅行をしたり、まだまだ自分の引き出しにいろいろなものをためていきたいですよね。
― 最後にお勧の本、映画がありましたら教えてください。
クレイ:そんなに新しくはないけど、『最高の人生の見つけ方』(The Bucket List)という映画を観て欲しい。学生にお勧めです。
「最高の人生の見つけ方」(The Bucket List)
2007年アメリカ映画、配給ワーナー・ブラザーズ。余命6ヶ月を宣告された二人の男が、死ぬ前にやり残したことを実現するために二人で冒険に出る物語。監督:ロブ・ライナー。主演:ジャック・ニコルソン、モーガン・フリーマン。
― 本日は誠にありがとうございました。
(次回は経済通産省 商務情報政策局 文化情報関連産業課 課長補佐 伊藤桂さんです。)
バックナンバー season 4
年別記事一覧