CHAPTER.2
本当に頑張って、人よりたくさん仕事をすれば、必ず成功できる。

講義内容は前後しますが、美藤さんは自身の体験談も話してくれました。

「僕は、大学時代にキョードー東京でアルバイトをやり、のちビクターに入社しました。当時僕は、自分が担当するアーティストでなくても朝から現場に行って事務所の人たちを迎え、リハーサルから打ち上げまで付き合いました。そんな毎日を繰り返しているうちに、多くのアーティストから信頼を得るようになり、担当にならないかと声を掛けてもらえるようになり、誰よりも早くチャンスをつかめたと思います。みなさんも人より上にいこうと思うなら、人よりたくさん働くことです。」

また、X JAPANのhideの事務所（株）HEADWAX ORGANIZATIONの社長時代の衝撃的な映像がスクリーンに映し出されました。

hideさんはニューシングル「ROCKET DIVE」をリリースし、ツアーも予定され、全てが良い方向に向かい、これからというときに33歳の若さで亡くなりました。美藤さんが責任者を務めた築地本願寺での告別式は、多くのファンが追悼に訪れ、社会的ニュースともなりました。テレビで放映された当時の様子を、学生たちが静かに見つめます。

「hideちゃんのご遺族とよく話し合い、ベスト盤やトリビュート・アルバムを制作し、横須賀にミュージアムも設立しました。僕はこれらを終えたときに、次に何をするか？　そのときにhideちゃんがいつも言っていた、『これからはインターネットで音楽を聴く世の中になる』という言葉を思い出し、音楽業界しか知らなかった自分だけど、思い切ってIT事業に転身しようと決意しました。」

今回の講義はベンチャー企業がどのようにして上場するのか、資本金とは、会社の経営とは、さらに会社を成長させるためには何がどのように必要なのか、美藤さんは会社をつくる第一歩の心構えから具体的にわかりやすく説明してくださいました。学生のなかには、会社設立という自身の大きな夢に、美藤さんの話が突きささった方々も多かったと思われます。

終盤、学生たちが特に注目したのが、音楽などのイベントやコンサートチケット転売防止・オークション対策を施した電子チケットを販売し、行けなくなったチケットを売り買いするチケットトレードシステムを、美藤さんの（株）エムアップの子会社、（株）エンターテイメント・ミュージック・チケットガードが業界で初めて開発したことでした。

そして、美藤さんは「ほんとうに大切なこと」として学生たちにメッセージを送ります。

■失敗を恐れないこと。
■どんなに努力しても、試合には負ける（自分の思った通りにならない）こともある。それを周りのせいにしない。
■自分を知ること、つまらないプライドは捨てる。
■どんな小さなことでもいいから、これが自分というものを見つけよう。
■長い道のりの先には、必ず大きな壁がある。それを仲間と一緒にぶち壊しに行く。

「皆さん、令和という新しい時代になって何か変わりましたか？　今は、スマートフォンひとつあれば世界とつながり、このことで成功している若者たちが世界中にいます。誰もが、この世界に、からだひとつと、こころをひとつ、持って生まれてくる。世界中の人に平等なのは、人はみんな、1日が24時間だということと、こころだけは自由だということ。人はみなきっと、その人にしかつくることができない力を、ひとつ授けられて、この世に生を受けているだろう。僕は、夢は見るものではなく、かなえるものだと思います。本当に頑張って人よりたくさん仕事をすれば、必ず夢はかなうと僕は信じています。」