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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 7

松任谷正隆さん
Interviewee

REC.007 松任谷正隆さん

音楽プロデューサー/東京工科大学メディア学部客員教授

プロフィールの詳細


CHAPTER.2
ヒットの打率を上げるための努力

司会:音楽以外のもので、プロデュースの仕事に役立っていることはありますか?

松任谷:ある音楽を自宅で聴くのと、車に乗って風景を見ながら流れてくるのでは、頭の中への入り方が違います。食べる場所で味が違うように、「同じように作っているから同じになる」と思ったら大間違い。時間もそう。時計が言っている時間でも自分の体感時間とは異なる。これはすべてのことへの鍵だと思う。

司会:多くの人に喜んでもらうには、どうしたらいいでしょうか?

松任谷:それがわかったらみんなヒットします(笑)。わからないから、みんな四苦八苦する。

司会:松任谷由実さんは、なぜヒットの打率が高いのでしょうか?

松任谷:それは時代的にラッキーだったと思います。人生すべて、ラッキーかそうでないか……。

司会:打率を上げるための努力はありますか?

松任谷:それが好きじゃないとダメ。適当にやったものは必ずバレます。今の料理人たちはとても一生懸命やっていますが、音楽も一緒です。また、一生懸命やるのがつらいとダメ。作り手が一生懸命に面白くやり、面白くなっていかなかったらよくはならないはずです。

司会:では、たくさんのインプットは必要ですか?

松任谷:いらないです。何かやらなきゃいけないっていうのが間違っていると思う。苗場を撮る人たちは学生も、インプットするのではなく、自分の中で作り上げていきます。ただし、プレイヤーはインプットしなければいけない。また、プロデューサーはそこのところは違って、いろんなやり方があります。

司会:それでは学生の質問に戻ります。「成果をあげられる人とそうでない人の違いは、なんですか? 」です。

松任谷:ほとんど違いがないと思う。あるとしたら、ほんのちょっとしたラッキーとか、慰めてくれる友達がいたとかそんなものじゃないかな。僕も結構すぐに折れるんだけど、それをどうリカバリーするか考えます。僕は学生のころ、自分の意見以外は聞かなかった(笑)。でも折れて、大人になるほうが成功の確率が高いんじゃないかな。

司会:音楽とは全く別のものから音楽に戻ってくるものはありますか?

松任谷:それぞれ違う役割があると思います。僕がモータージャーナリストという立場で言うと、車にはいつも価値観がある。でもそれは全部が流行で、それがメインに立つ。そこは曲と一緒ですね。必要なものは進歩していくものだけど、あるときにフィーチャーされるものが必ずあって、そういう部分は曲と似ています。次はなんだろうって車を見て考えていると、意外と見えてきたりします。

司会:ファッションも音楽とシンクロしますか?

松任谷:昔みたいに重いもの着てものを考えるのと、今のような軽いものを着て考えるのとでは全然違います。僕は煮詰まると、クローゼットの掃除をするけど、これで気分がスッキリします。そんな感じで、好きなことをしていくといいですね。

司会:松任谷さんは、ラジオでインタビュー番組をずっとやっていますが、それは、なぜですか?

松任谷:僕は人見知りのところがあって、いろんな人を今まで知らないできてしまった。でも、ラジオだと強制的にしゃべらなくてはならず、話してみるとこういう人がいるんだ、こういうことがあるんだと知ることができます。世の中にはいろんな価値観があって、いろんなことに命をかけている人がいて面白い。自分と違う人がたくさんいることがわかって、音楽にはきっと無意識につながっています。

司会:それでは、松任谷さんがスタッフとして一緒にやってほしいのは、どんな人ですか?

松任谷:これができますとかそういうことではなく、真っ白がいいです。なぜなら、これからどんな色にでも染まるような、のびしろがあるから。

司会:素直さはどうですか?

松任谷:素直さも白くなる要素の一つですよね。

司会:真っ白じゃない人が真っ白になるのは?

松任谷:それは無理かな。でも、腹黒いのも大事。腹黒いには「そいつをバネにしてジャンプしたい」っていうのがあって、それを面接する側は察知し、この人を採用しようと思う材料になるはず。それと、僕はいい子みたいにわざわざ考えるみたいな小賢しいタイプはとらない。ところで皆さんは、多分就職とか今、いろいろ考えていると思う。でも、人生で実は就職している期間はそんなに長くない。そんなに長い時間じゃないっていうのは、きっと後になってからわかるはずです。

司会:まだまだ質問が寄せられていますが、時間となってしまいました。本日は、学生たちもさまざまなことを聞けて元気をもらったことと思います。松任谷さん、ありがとうございました。

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