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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 7

松尾健司さん
Interviewee

REC.010 松尾健司さん

(株)J-WAVE コンテンツマーケティング局 局次長 エグゼクティブプロデューサー

プロフィールの詳細


CHAPTER.2
ラジオ業界が求める人材

講義中盤、松尾さんは「では、ラジオ局で働くにはどうしたらいいのかについて話します」と、ラジオ業界が求める人材について、このように学生に語りかけました。

「人柄、熱意、可能性、コミュニケーション能力など一般の企業と求める人材は変わりません。特殊な能力は必要ありません。プロデューサーに求められるのは、企画力と推進力。企画書を書いて、それを実行できるようにする力が必要です。これらは才能ではなく、後天的に獲得できる能力だと僕は思います」

また、企画力について、「“毎日がラーメン“といったコンテンツをつくり70万人ものユーザーを集めているYouTuberがいますが、こういったコツコツ、誰でもできるけど、めんどうくさいことを毎日やる企画には他の人は追いつけないものがあります」と話し、『企画の発想法』や『プロデュース力の鍛え方』の核心にふれていきます。

これらを松尾さんは毎年取り上げてくださいますが、エンタテインメント業界に進もうとしている学生にとって、ユニークなコンテンツをどうつくるのか、そのための企画をどう考えていくのか、誰もがその下地づくりを必要としています。

松尾さんは、「時代のFACT(事実)をよく読もう」という『企画の発想法』の入り口から説明。

「FACTを読むためには、実際にどうなの?と、まず先入観にとらわれないで、客観的なデータをもとに思考していきます。よく『ニュースはインターネットで容易に入手できるようになり、もはや新聞はほとんど売れていない』と言われることがありますが、これは“思い込み”です。

世界で最も売れている新聞のNo.1とNo.2は日本の新聞で、日本はまだまだ新聞王国なんです。読売新聞が900万部、朝日新聞が600万部、ちなみにUSA TODAYは400万部の発行。つまり、紙媒体から電子化への移行は確実に進行していますが、新聞の持つ情報の質は他を圧倒しているのです。ですので、時代のFACTをよく読み、“思い込み”だけで企画を考えないように」

続いて松尾さんは「企画の発想法」を学生たちが実用できるように10項目にまとめて話されました。

① 問題を探す(今、現状で不満点を解決“問題解決”するための企画を生み出す)
② 反対から見てみる(本来のこととは相反したものからヒントを得る)
③ 延長線上を見据える(今後のこと、将来性を確認しながら考える)
④ 思いを共有する(どうしてもやりたいという熱意を企画書で共有する)
⑤ めんどうくさいことをやる(実は、これがいちばんクリエイティブへの近道) ⑥ 自分に置き換えてみる(「私だったらどうなんだ」から「私だったらこうする」まで、世の中にあるものを自分事に考える)
⑦ プロセスを公開する(例えば、アイドルのデビューからブレイクまでを一緒にやっていく流れを考えてみる)
⑧ 人に相談する(自分のアイデアだけだったら限りがある。面白い企画ならばどんどん人に相談する)
⑨ 時代のFACTをよく読む(実際にどうなの?と、先入観にとらわれないで、客観的なデータをもとに思考していく)
⑩ あきらめない(ものづくりの現場は愚直なことが多いので、あきらめないで必死に実現まで頑張る)

松尾さんは、「ラジオ・プロデューサーの仕事は、基本的にはラジオ番組の企画と制作、つまり企画書を書くところから放送に至るまでの管理です。しかし、今どきのラジオ・プロデューサーはなんでもプロデュースします。ですからプロデュース力は、いつも癖になるぐらいを鍛えておいたほうがいいです」と『プロデュース力の鍛え方』のヒントを4つ挙げました。

① 企画発想法で、さまざまなものを見る(「学食」も「授業」も自分ならこうするという視点を持つ)
② どんなつまらないことも面白がる心を持とう(苦痛な「レポート」でもどう楽しむか考えて実行する。アルバイトの職場をどう面白くできるか? 実行しよう)
③ 友達や家族を喜ばすことを考えて実行しよう(常日ごろの発想が役に立つことが多いのが、エンタテインメント界です)
④ 好きなことを突き詰めよう(ひとつのことを徹底的にやる愚直さが、プロデュース力を鍛えてくれる。好きなものを好きだと公言しよう。アピールしよう)

最後に「もしラジオ業界を目指すなら、アルバイトは居酒屋などの接客業がいいですね。さまざまなことを体験するなかで、コミュニケーション能力やプロデュース力が鍛えられると思います。そのためには、どんなにつまらないことも面白がる心を持ち、普段でも好きなことを突き詰め、ひとつのことを徹底的にやりきってみよう」と、松尾さんは締めくくり、学生たちへの力強いエールとなりました。

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