CHAPTER.4
THE ALFEEの「メリーアン」

―　学生からの質問にもありましたが、オリコン社はこれからどんなランキングをやっていくのでしょうか？

垂石：エンタテインメントのランキングの中では、音楽・映像だけでなく最近は書籍ランキングもスタートさせています。また、近年力を入れているのは、顧客の満足度ランキングですね。
例えば、自動車保険や英会話、引越等、実際に必要な時に選ぼうとしても、さてどこがいいのか分からない場合ってありますよね。そういった場合に参考にしてもらうためのランキングです。日本全国の体験者から集めたアンケートをもとに満足度ランキングを作っていますから、みなさんのお役に立つと思います。この顧客満足度ランキングはビジネスとしてはそのランキングが掲載されたHPへの広告をお願いしたり、ランキングそのものを対象各社の広告使用時にマネタイズしたりと、新たなビジネスチャンスとなっています。
あくまでも、弊社はランキングを作って、それでビジネスをしている会社です。だからこそ常に正確で役に立つランキングでなければなりません。そういう意識で社員が一丸となっています。

―　最後になりますが、垂石先生がオリコンに入られて、ずっとランキングを見てきて、もっとも感激した出来事は何ですか？

垂石：ランキングでの感激というのとはちょっと違うかもしれませんが、THE　ALFEEが最初に武道館公演を行った時の感激は今も忘れられません。取材編集者と新人アーティストとして出会い、ランキング常連になる前から、一緒に1曲ごとに今度は入るだろうかとハラハラし続けて、初めての武道館公演で客席が超満員になり「メリーアン」（1983年）がヒットして…。武道館でぐるりとステージを取り囲んだ1万人のファンを見た時に、目頭が熱くなってしまいました。この業界で、産業を盛り上げるというのはこういうことなんだなと実感した瞬間でした。
やっぱり音楽業界というのは、新しいアーティストがビッグになっていってくれないと業界自体が活性化しないし拡大もしないんですね。ですから新人が1組でも多く大きくなってくれることにどう役立っていくかを考えるのが自分たちなんだと思っています。そのことは、あのTHE　ALFEEの武道館以来、思い続けています。

―　ありがとうございました。

（次回は、日本音楽著作権協会 常任理事 大橋健三さんです。）