A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
講義内容一覧 (2012年度 東京工科大学実施)
第8回 CD市場とダウンロード市場の未来
2012/11/13
音楽業界における重要な役割をになうオリコン。その設立の背景について、当時の社会背景をもとにご説明いただきました。ランキングは判断支援、ユーザー側の選択基準であり、アーティストの格付けやブランディング機能は評価の蓄積が信用度をアップさせています。いまやオリコンのデータは200以上もの媒体で発信されていることからも、その影響力が伺えます。また、音楽配信という新しいサービスの出現による、音楽産業の構造変化についても語られました。そして、音楽産業で求められる人材については交際力、機動力、交渉力、条件闘争力、選曲能力が必要であると述べられ、個人的体験によるコミュニケーションアップのため、話し上手より聞き上手の方がうまくいく」「自分を信じること」「我慢の美学を学べ」など、素晴らしいアドバイスをいただきました。
第9回 ライブコンサートにおける著作権
2012/11/20
大橋先生からは、著作権とは何か、その著作権を守るJASRACの業務内容、ライブ関連ビジネスなどについてお話されました。そもそもCDの売れ行きが芳しくない昨今、ネット上での音楽配信が主流になってきており、それに伴って音楽の違法アップロードも増えてきています。JASRACの仕事とは、音楽コンテンツの流通を促進し、音楽を使用する個人や法人、団体など各分野の方の交流を促すことだと述べられました。これからの音楽業界は、ネット配信と放送の垣根がなくなってきており、それに伴って違法アップロードなども増えてきています。音楽産業のそのような違法対策と現状を語られ、著作権を大切にするということはクリエイターを守るという根幹になると述べられました。
第10回 アーティストの発掘とエンタテインメント
2012/11/27
野村先生はまず始めに音楽産業の著作権使用料の流れから説明され、音楽コンテンツ・ビジネスの変化について述べられました。音楽産業には、CDの制作・販売、ライブ・コンサートの実施という大きな2つの収入の柱があり、これらは特性が大きく違うものだとお話されました。この2つの収入のうち、CD売り上げの方が落ちてきており、ライブの動員を増やしたりチケットの金額を上げたりすることで市場を保っているという音楽産業の現状も述べられました。このような状況の中、新たにアーティストを発掘するため様々なアンケートや調査を行い、現在はアーティストに対してどのようなマネージメント戦略が有効なのかデータを集めていると語られました。
第11回 音楽産業の未来
2012/12/04
アーティストマネジメントの仕事内容と将来についての講義となりました。原田先生の実体験によるアーティストマネジメントの仕事を詳しくお話して頂きました。マネジメントの業務は既存のアーティストのマネジメントだけに留まらず、新しいアーティストの発掘・育成も行っていかないといけません。新しいアーティストの発掘にはオーディションやライブハウスでのスカウトだけでなく、日々の努力の積み重ねで得られる情報が重要です。昨今の音楽業界ついては、「時代の転換期をチャンスととらえる」。インターネットの技術革新が続くなか、音楽の役割は大きく変ります。クールジャパン戦略を押し進め、海外戦略に今最も力を入れていかなければならない。そのための優秀な人材が必要とお話されました。
第12回 アニメーションとライブ・エンタテインメント
2012/12/11
日本アニメの関連産業市場規模と海外市場拡大の動きについて、最新情報満載の講義となりました。スマートフォン・タブレットの普及により動画配信での視聴が広がっています。ここに日本国内でのアニメ市場の拡大が見込めます。またアニメイベントでのライブビューイングの活用や、地域振興における聖地巡礼アニメツーリズムなどアニメ業界の動きは活発化しています。現在、日本では大人向けのアニメの制作が増加していますが、幼児向けコンテンツの制作の見直しも必要。一方海外ではエキスポなどを通じて、日本のアニメ文化の浸透が進んでいます。今後、海外市場に向けた取り組みとして、正規品の普及展開、共同配信用のサイト、エキスポへの合同出展、アジアでのテレビ放送「枠」の確保など、具体的な施策が検討されています。
第13回 音楽ビジネスのこれから 若者たちのこれから
2012/12/18
松任谷先生の学生時代のエピソードと共に仕事への意欲、音楽プロデューサーとしての仕事内容、学生とのディスカッションなどを行って頂きました。音楽プロデューサーや脚本家として有名な松任谷先生の意外な学生時代の過ごし方や、仕事中の着眼点、音楽を仕事としていなかったら将来何をしていたか、などについてお話いただきました。学生とのディスカッションでは「SNSの活用方法」「将来の夢」などについてお話いただきました。「学生は意外なアイデアを出してくれる。しかしその荒削りな意見の中にも真実が見つかる」「SNSはまだまだこれからだが、学生らしい新鮮なアイデアがあったら教えてほしい」と述べられ、学生にとっては非常に刺激的な授業となりました。
第14回 コンテンツ産業の現状と今後の発展の方向性
2013/1/8
日本のコンテンツ産業の現状とこれからの将来性を考えていく講義になりました。海外ではクールジャパンのもと日本のコンテンツが人気だが、それも国によって浸透力が違い、非常にむらがある。日本における海外市場だけでなく、海外製品が日本に入って来ることもある。K-POPの台頭など音楽産業では海外製品の参入が顕著だが、日本の音楽産業の売上はアメリカに次ぐ世界第2位で、CDパッケージだけの売り上げを見れば世界1位であり市場規模の大きさがうかがえると述べられました。また、海外製品の参入の話だけでなく、国内市場の変化についてもお話がありました。国内では各事業における競争相手が変化してきており、これまでの日本のビジネスは同業他社が多かったが、近年の競争は、異業種他社との競争も増えている。このような現状の中、望月先生はコンテンツ産業が「大きく稼ぐ」クールジャパン戦略の全体構想についてお話くださいました。
第15回 笑いとエンタテインメント
2013/1/15
コンテンツを届けるためには中身のままでは届けられない。器となるメディアがないとコンテンツは人に届かない。いずれ、コンテンツは非常にメディアに左右されるようになる。「お笑い」の場合、劇場からレコード、ラジオ、TV放送、ネットと媒体が変わっていくにつれてコンテンツの性質が変わってきた。ネットが全盛期の昨今では、SNSをメディアにどのように取り入れていくかが大きな課題でもあり注目すべきところであり、またそこに将来のチャンスがある。SNSになると個人でも発信でき、人々からも注目される。芸人にとって非常に面白い媒体である。将来を拓くキーとして積極的に活用していきたい。幅広い見識と歴史観にもとづき、「お笑い」の将来を鮮やかに描く講義となりました。
肩書きは講義当時のものです