A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
講義内容一覧 (2012年度 東京工科大学実施)
第1回 オリエンテーション
2012/9/18
中西先生からは、ライブ・エンタテインメント業界について全般的にお話いただきました。大震災後の一時期影響はあったものの、アーティストがそれぞれ力を合わせて復興に取り組んでいる。そのことが音楽業界全体の力となっている。Kポップの隆盛などの新しい状況もあるが、日本の音楽は、国際的な立ち位置をよりしっかりと考え、より幅広い年齢層にむけてアピールする必要があるとお話いただきました。
反畑先生は、年間たくさんのコンサートに出かけ、つねに新しい音楽やアーティストの発掘をされています。音楽ライブは昔から続く娯楽ではあるが、同時に文化であり日本の財産です。ライブ、コンサートは、音楽の作り手とファンとの間を直接結ぶ大事な場でもあります。デジタル技術によるインターネット革命や、ボーカロイドの登場など新しい要素もたくさんある中で、音楽コンサートの本質を考えていくことと、今期の講義概要についてお話をいただきました。
第2回 TVの仕事 ミュージックステーションができるまで
2012/9/25
山本先生は、記録的な長寿番組「ミュージックステーション」を番組立ち上げ当時からご担当されています。今回の講義では、実際の番組制作のドキュメンタリー映像を見ながら、この番組におけるディレクターの仕事の流れや、音楽に対するひたむきな努力について学びました。番組一本あたり3週間という短い期間で、出演者との交渉やリハーサル、撮影準備といったたくさんの仕事を、生放送にこだわりつつスタッフの連携で乗り越えます。山本先生ご自身、年間に多くのコンサートに足を運び、常に音楽シーンの新しい息吹を体で受け止めるようにしているそうです。CDの売り上げが下がり、ネットがもてはやされる時代ではありますが、テレビ番組の本質的な魅力を追求して、いつまでも視聴者に愛される番組を作り続ける思いをお話いただきました。
第3回 グローバル社会の中の音楽コンテンツ
2012/10/2
グローバルな視点で日本の音楽コンテンツの可能性についてお話いただきました。日本には海外でも十分に通用するアーティストが存在します。市場をよく研究して開拓していけば日本のアーティストが活躍できる新しい海外マーケットがあると、将来の展望を語られました。これからの企業が求める人材には、海外についての深い知識が必要になってきます。その国でビジネスを進めていくためには、言葉を知るだけでなく、その国の歴史や文化の理解が必要になります。これまでの日本人は技術だけでした。これからは、現代的で広い世界観をもつ人材が日本人の活躍の場を広げるだろうと、若い人への期待をこめて熱いメッセージをいただく講義となりました。
第4回 ネットサービスと音楽エンタテインメント
2012/10/16
ニコニコ動画のサービス例を挙げながら、ネットサービスおよびソーシャルサービスの可能性についてお話しいただきました。ソーシャルメディアとしての動画は、視聴する行為がサービスの最終到達点ではなく、コンテンツ内でユーザー同士が意見を交わし合うことが最も重要です。コンテンツ提供者とコメントを送信する人、そのどちらもがユーザーとなり、そこに新しい事業展開の可能性があります。ネットサービスはTVなどの従来のメディアサービスとは大きく違う双方向の特徴を備えています。ニュース等の情報に加えて、日常の会話に近い情報交換をする場を作ることもニワンゴの役割。ネットサービスにおける著作権問題やモラルの問題などについても、具体的事例を挙げながらご指摘されました。
第5回 ROCKでない奴ぁロクデナシ ~ヤバイ優先2012
2012/10/23
若者はいま、人生をどのように生きていくべきか。増子先生の実体験をもとにお話いただきました。先生の座右の銘は「ロックでない奴はろくでなし」。人間だれしも安全第一で、楽な道を選ぶもの。しかし、「安定した生活は果たして本当に幸せなことなのか、会社ありきの自分は本当の自分なのか。自分の人生にとって何が大事なのか。これを見つけることが一番重要」と熱く語っていただきました。増子先生は、やるかやらないかで迷っている時には、迷わずロックな方の(ヤバイ)道に進もう、という考え方で道を決めているそうです。「ときめきやドキドキは年々減ってくる。それはお金じゃ買えないもの。「やっての後悔は一瞬、やらずの後悔は一生」と、感動的な授業を締めくくられました。
第6回 未来のラジオ放送
2012/10/30
これからラジオはどのような特性を持っていくのか、そしてラジオとはどのように作られているのか。ラジオ放送局の課題はいかにして若い年齢層の人にラジオを聞いてもらうかということです。統計データ的には多くの人にラジオは聞かれているが、ここ10年ほどでは30%ほども減少しているそうです。一方でラジオの製作現場は大きく変化しています。インターネット配信に力を入れ、リアルタイムでリスナーの反応を番組に取り入れるため、ツィッターなどのソーシャルメディアの活用も進んでいます。ラジオプロデューサーにとって大事なのは「番組を作る場所を作ること」と述べられ、「座学だけでは企画力は身につかない、いろいろな人に会い様々な場所に出かけることが大切である」「誰もが気がつくが、面倒臭くて誰もやらない事を考える」など、企画における重要な考え方を学びました。
第7回 体験型エンタテインメントの未来を考える
2012/11/6
ウォルトディズニー・ジャパンは、エンタテインメントの最先端をいく会社です。その企業理念についてお話いただきました。ミッキーマウスの生みの親であるウォルト・ディズニーもキャラクターの前にまず音楽から考えていたように、感動は音楽に基づいており、感動を再び呼び起こす力が音楽にはある。ディズニーだからこそ、音楽でできることがそれこそ無限大にあると語られ、ディズニーブランドの原則について教えて頂きました。“FUN”(魅力的なキャラクター)、“Storytelling”(物語性)、“Innovation”(革新)、“Community”(共同体)、“Optimism”(前向きな精神)、“Quality”(品質)、“Decency”(品質)、これらを非常に大切にして商品作りをしているそうです。そして、「ディズニーはハートのこもった特別なエンタテインメントをお届けします」と語られました。
肩書きは講義当時のものです