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A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
講義内容一覧 (2016年度 東京工科大学実施)

第9回 いま音楽を語ろう

2016/11/22

9回目の講師は、ロサンゼルスを拠点に活躍する作曲家・音楽プロデューサーの村井邦彦氏。まずは村井氏のプロフィールの紹介から始まった。『エメラルドの伝説』『ある日突然』など、60年代~70年代に青春歌の代表曲を次々に送り出し、札幌オリンピックのテーマ曲『虹と雪のバラード』も作曲。赤い鳥、荒井由実、YMOらを世に送り出すなど、音楽プロデューサーとしても手腕を発揮したほか、設立したレコード会社「アルファレコード」で海外進出を果たすなど、その輝かしい実績に学生は驚きながらも、合唱でよく歌った『翼をください』の作曲家ということで親近感を持って講義に臨んでいた。
講義は、学生から質問に村井氏が回答していくスタイルで進められ、「作曲のために必要なものとは?」の質問には「曲というものは何もないところから生まれてこない。歌う人がどんな声なのか音域はどのくらいなのか、映画の場合は監督がどんな音楽を必要としているのか、CMソングなら会社の好感度をアップしたいのか、それとも商品のセールスを上げたいのか。目的を知り、与えられた条件の中で想像を働かせる」と述べ、続けて「人生は感動の連続。景気が美しい、ご飯がおいしい、作家の文章が美しいなど。この感じる力が創る力とイコールであり、この感じる力にものづくりの技術をプラスすることで、音楽を生み出すことができる」と自身の作曲法のノウハウや経験を披露。他にもアーティストをプロデュースするときのポイント、人脈を広げる秘訣、挫折から立ち直る方法など、村井氏の言葉ひとつ一つに、プロの作曲家としての流儀がぎっしりと詰まった講義となった。

講師 村井邦彦さん

作曲家/音楽プロデューサー

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村井邦彦さん

第10回 なぜ日本の音楽はマーケティングを誤ったのか?

2016/11/29

第10回目の講義は、音楽評論家として活躍する平山雄一氏が務めた。平山氏の音楽評論は徹底したフィールドワークを基本としている。これまで観たライブは5,000本以上、インタビューしたアーティストは2,000組以上になるという。まず講義では、昨今のミュージシャンたちのビジネスに対する考え方の変化を解説。「レコード会社に所属して、原盤のこともよくわからないまま音楽活動していたミュージシャンたちは減少し、昨今の若いミュージシャンたちは自立し自分たちで何でもやるようになってきている」と指摘。ミュージシャンもDIYの時代に入っていて、「今はメンバー自ら運転して、TシャツやCDを売り、自分たちで全国ツアーを行っている」と述べ、そうして経験の中で彼らは、自分たちを支えているものが何か、ファンが何を求めているかを実感するのだという。「一丁儲けてやるぜ!という感覚ではなくて、ちゃんとしたビジネス意識を持ち、何が大事かわかるミュージシャンは確実に増えている」と語る。
また、「食育」と同じように「音育」もあるべきとの考えから開催している、アナログ音源を爆音で聴いてみる視聴会イベントについても紹介。アナログ音源を爆音で聴いたあとにCDをかけると「CDは精密な平面の感じ、アナログは立体的なある種3Dなんですね。完全に音の前後があり、そういう音像の作り方をしていることが体感できる」という。学生にもぜひ聴かせてみたいそうで、「体感してもらうと、レコードのあの溝の中でいったい何が起っているんだろうと考える人も出てくる。音で感覚は育てられると思う」。そして最後に「音楽評論家という肩書きは将来なくなるかもしれないけど、評論家的な見方はどんな仕事でも通じるから、それを基礎体力として身につけてほしい」と締めくくった。

講師 平山雄一さん

音楽評論家

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平山雄一さん

第11回 アーティストのプロデュースとプロモーション戦略

2016/12/6

第11回は、ワタナベエンターテインメント取締役の吉田雄生氏によるアーティスト・プロデュースとプロモーションについての講義。これまで吉田氏が担当した中川翔子やLittle Glee Monster(以下リトグリ)のプロデュースやプロモーションについて聴くことができるとあって、学生はペンを走らせながら熱心に受講していた。リトグリのプロデュースを始めてから「昔読んだビートルズやローリングストーンズのプロデューサーたちの本なども読み返し、今の時代に重ね合わせ、とにかく売れるためには何でもやろう」と自分の中で決めていたのだという。徹底したイメージ戦略とメディア戦略をクリエイティブなブレーンと共に進めていった結果、いまやリトグリは“歌がめちゃくちゃ上手いアイドル”としてブレイク。吉田氏は彼女たちをプロデュースし、さまざまなプロモーション活動を実践したことで、ようやく自分なりのプロデュースの方法論を確立する。それが、①企画 ②実行 ③継続 ④拡散(SNSやラジオ、ネット) ⑤点火(テレビ)であり、プロデュースとは、この①〜⑤の繰り返しであると述べた。プロデュースする上で最も大切にすることは、アーティストと「どうしたい」「なぜやりたい」のかを日々話し合うことだという。プロデュースには人間力が必要。人の心を動かせることが、この仕事の一番の醍醐味であると締めくくった。

講師 吉田雄生さん

株式会社ワタナベエンターテインメント 取締役 /第二マネージメント本部 兼 関西事業本部担当

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吉田雄生さん

第12回 学生だからできること

2016/12/13

第12回は、メディア学部の客員教授であり、音楽プロデューサーの松任谷正隆氏が登場。今回は「学生だからできること」をテーマに、松任谷氏と学生との取り組みついて語った。今や定番となった苗場での松任谷由実「SURF&SNOW in Naeba」は、実は学生からのアイデアがきっかけでイベントへの参加が始まったのだという。それが2007年。その後も、新曲のミュージクビデオを多摩美術大学と競って作ってみたり、「POP CLASSICO」ツアーの一部演出を手がけることもあるとのこと。また、「SURF&SNOW in Naeba」のコンサート期間中にインターネットでコンテンツを楽しむことができる人気の有料サイト「Y MODE」は企画・立案から撮影・編集・配信まで学生が全てを担当しているが、10年前と今の学生に期待することの違いとして、ネットでも高画質な映像が見られる昨今では、学生に求めるレベルも必然的に高くなってきているという。しかし、「とにかく面白がれ」という部分は今も昔も同じく求めていると語る。その理由は「結局面白がらないと、面白いものはできないから」。学生とコラボレーションする魅力は、「学生は技術的なノウハウを知らないことが欠点だが、知らないという強さがある」。何かをするには、まず最初にアイデアが必要であり、現場にいるプロは、できることがわかっているから、ついその中でまとめようとしてしまう傾向が強いという。そうすると絶対新しいことは生まれてこないもの。何をやるにしても奇抜さは大事であり、知らないことが奇跡的にいいものを生み出すことがある。だから学生の枠にとらわれない自由な発想は、とても斬新で好きだと語った。

講師 松任谷正隆さん

音楽プロデューサー/日本カー・オブ・ザ・イヤー 選考委員/東京工科大学メディア学部 客員教授

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松任谷正隆さん

第13回 コンテンツ産業の現状と今後の発展の方向性

2016/12/20

13回目は、経済産業省の伊藤桂氏が講師として登場。国家戦略として日本のコンテンツ産業振興に尽力する立場から、日本の現状と将来性を考えていく興味深い講義となった。伊藤氏は最初に「いいものを作る」と「それが売れる」はイコールではない。「ものを売るには戦略が必要であり、単に商品が売れればいいというのではなく、利益を生み出すスキームをもつことが重要」と語った。伊藤氏によると日本のコンテンツ産業の規模は12兆円ほどで世界第2位(トップは圧倒的にアメリカ)と大きな市場規模を誇っているが、今の勢いを考えると数年後には現在3位の中国がトップになるのではないかとの認識だ。日本は少子高齢化の影響もあり、伸びは横ばいとなっているため、いかに新興国等の旺盛な海外需要を開拓していくかが今後の鍵とのこと。その中心となる施策がクールジャパン戦略だ。目的は海外を相手に日本のコンテンツ産業で「大きく稼ぐ」こと。海外展開のイメージとしては、日本文化や魅力などに付加価値を加えたクリエイティブコンテンツなどの文化産業を効果的に発信。日本ブームを起こして現地で稼ぎ、さらに日本を訪れ消費をしてもらうことで、日本の経済成長・企業の活躍、雇用創出につなげるというもの。そのため経済産業省では、字幕など、コンテンツの現地化を進めるほか、中小企業が参加できる見本市や政府主催のアジア・コンテンツ・ビジネス・サミットの開催、資金援助、ほかにも海賊版対策、留学生アンバサダー、プロデューサー人材育成、コンテンツ技術開発の支援など、日本のコンテンツ産業発展のために、さまざまなサポートを実施しているとのことだ。

講師 伊藤桂さん

経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課 課長補佐

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伊藤桂さん

第14回 ベンチャースピリッツ 〜起業から上場まで〜

2017/1/10

第14回目の講義は、ITとエンタテインメントを結び、ファンに直接サービスを提供する手法で成長を続ける株式会社エムアップ代表取締役の美藤宏一郎氏が講師として登場。ベンチャーとして会社を立ち上げ、上場するまでの流れやポイント、会社を運営する苦労と喜びなど、将来は自分で事業を、と考えている学生にとって、起業のヒントが学べる貴重な講義となった。美藤氏は大学卒業後、大手レコード会社でキャリアをスタート。ディレクターとして才能ある新人を発掘し、数多くのヒット曲を生み出したが、30代後半の時にX-JAPANのギタリストhideの誘いを受けて音楽事務所を設立した。「このアーティストに一生を捧げようと思っていた」その矢先にhideが死去。当時ケータイやPCがあまり普及していなかった頃から、hideはもうすぐインターネットやケータイで音楽を聴く世の中になると話してくれたという。「その言葉に背中を押された」とエムアップ設立の経緯を語った。また、講義の後半は、資本金の額から、必要な人材、役員の数、社長の給与、会社を法務局に登録する費用など、会社を作るためのイロハを述べつつ、さらに上場するためのポイントについても解説。なぜ上場を?という学生からの質問には「上場する目的の一つは信用や信頼を得るため」だったと美藤氏。「音楽業界から参入してきた異質な存在というIT業界での私たちのイメージを払拭し、ビジネスとして成功させるためには必要だった」。自分たちで道を切り拓くベンチャースピリッツがヒシヒシと伝わってくる講義となった。

講師 美藤宏一郎さん

株式会社エムアップ 代表取締役

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美藤宏一郎さん

第15回 メディアが仕掛けるイベントに見る企画術

2017/1/17

最終回となる講義は、J-WAVE編成局次長 兼 編成部長の松尾健司氏が登壇。音楽中心に番組を編成する都市型ラジオ放送局“J-WAVE”においてプロデューサーの役割や仕事の内容について紹介。音楽のプロデュースから、Webコンテンツや本、ライブイベントの企画、ラジオ番組のプロデュースまで、その仕事の領域は多彩であり、いかにイベントを企画する能力が求められるかを説明し、企画・プロデュースワークについて話を進めていった。松尾氏の原点はビートルズであり、彼らの常識にとらわれない実験精神、ユーモアセンス、アート&ファッション性、生き様、メッセージ性といったものが企画をする上でとても役立っていると語った。その上で今の企画の傾向を話しつつ、「すこし変えてみるは、ものづくりの大切なキーワード」「最大公約数は狙わない。身の回りの切実な課題を抱えている人を探す」「爽快なる裏切り。いい意味で受け手を裏切る工夫を凝らす」など、自身が数多くのイベントや番組作りに活用した考え方について解説。企画力は才能ではなく後天的に身につけられるものであるから、愚直に積み重ねていくことが大事であり、企画書が書ける人は、どんな現場でも重宝がられるので、この能力は最上位に身につけたほうがいいと学生たちにアドバイスを送った。そして最後は、今日一番これが伝えたかったこととして、「LOVE IS THE KEY(好きこそものの上手なれ)。やりたいことが明確になれば、やらなくていいことがわかる。好きなことを仕事にしよう」とのメッセージを学生に送って講義を終えた。

講師 松尾健司さん

株式会社J-WAVE編成局次長 兼 編成部長

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松尾健司さん

肩書きは講義当時のものです

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