A.C.P.C.提携講座 ライブ・エンタテインメント論
提携講座/登壇講師インタビューseason 1
CHAPTER.2
怒髪天、結成28年目
― バンドの結成は1984年(昭和59年)、ロサンゼルス五輪があった年ですね。影響されたのはパンクロックですよね。
増子:セックス・ピストルズ、クラッシュ、日本ではアナーキーです。
― バンドを始めた頃は、どんな感じだったのですか?
増子:肩肘を張っていたことはありましたけど、偽りのない自分たちを見てくれっていう感じです。それで伝わらなかったら仕方ない。他のバンドを見ていて、カッコつけてウソくさいのは絶対ダメだと思って、そういうことだけはしたくなかった。よく言うんですけど、ライブって「好きです、付き合ってください」ってラブレターを渡しているのと同じです。
― なるほど。
増子:ラブレターは、思いを伝えたくて渡すはずなのに、自分のキメ角度はこっちだから、こっちからしか見ないで、とカッコつけているやつのラブレターを、誰が読むのかという話ですよ。本気のときは泣きながらでも鼻水たらしながらでも渡すし、伝えたい。人間って本気出して、全力出しているときって滑稽なんです。
― 端から見るとそうですよね。
増子:一生懸命やればやるほど滑稽に見える。でも、それが一生懸命ということなので、その部分を虚飾したくないし、飾らないようにしたいですよ。
― そうして28年続けてきたわけですね。
増子:オレたちはバンドをやることが目的で、バンドをやっていれば楽しいだけで、有名になってやろうとか成り上がってやろうとか思っていたわけじゃない。そう思っていたらこんなに低空飛行でやってこないですよね。
― 持続している力は何ですか?
増子:メンバーの仲がいいことです。それぞれ家庭の事情があるにも関わらず、バンドを最優先にしてやってきました。自分たちの言いたいことを言いたいし、ライブに来てくれるお客さんやCDを聴いてくれている人たちに、「オレたちはこう思っているよ」ということを対面して話すのと同じように、居酒屋で飲んでいるようなテンションで、思いを手渡すぐらいの気持ちでやってきました。
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